はじまりには必ず終わりがあることは解っていましたが、
10年9ヶ月続いていた企業の月刊誌の表紙撮影の仕事が2022年9月に終わりました。
55周年の節目に大きく変えたいということで表紙はイラストに変わることが決まったのです。
そんなわけで、私が毎月撮影した表紙写真は129枚で終わりとなりました。

まだ営業所のない県が3つあったので47都道府県を全部撮影することは出来ませんでしたが、
2巡目にはいりエリア範囲が市になって続いていました。
この仕事が決まった時に自分のなかで「人の営みを感じる新しい日本の風景写真」という
テーマでまだ誰も見たことのない写真を表現しようと決めました。
決められた期間のなかで自分も作品と思える写真をとり続けることは難しく、
「今月は楽に撮れた」といういうことは1回もなく毎回現地で考え続けました。
写真家として毎月成長出来たと思います。

その仕事の最終撮影地は福岡県北九州市でした。
レトロな門司港もよかったのですが、新しくなった駅前の方がこの街の『今』らしいと感じ、
駅ビルから直接出てくるモノレールを表現のキーにして構図を考えました。
私は撮影の時にイメージする音楽が頭に浮かぶことがあって、
この時はゴダイゴの『銀河鉄道999』が脳内で流れていました。
いい時間なってきたので魚眼レンズへ交換して立ち位置とアングルを調整のうえ背後から電車の気配を待ちます。
そこへ画面へ入ってきたモノレールのデコレーションを見て思わず「出来すぎ」と心なかでつぶやきました。
この電車の存在を知らなかったので本当に驚きました。
この夕景撮影終了で日程終了となり「ひとつの旅の終わりは新しい旅のはじまり」と感じていました。

表紙写真は昼間の別アングルでの駅ビルとモノレールになってしまいましたが、
この気に入ってる写真が長く続いた仕事の最後の作品です。

2022年9月9日18時16分02秒撮影
Canon EOS R5 / EF15mm F2.8 Fisheye / F8.0 1/500  ISO:2000