『下北沢・鈴なり横丁』

2019年1月17日に腎臓癌手術で右腎臓を全摘しました。
術後の経過も順調で転移もみつからなかったので予定通り1月25日に退院しました。
翌日の26日からリハビリとして散歩をはじめました。
手術で体力落ちると聞いてましたが、
一番近いコンビニに買い物行くことがこんなにも体力いるものなんだと感じるありさまでした。

27日から28mmレンズをつけたカメラを持ってリハビリ写真散歩することに。
この日は恵比寿まで写真展を見に行きましたが手振れ写真になっていてお見せ出来ません。
ただ、歩くことで精一杯のなかカメラを構えて写真を撮る喜びに満ちた時間でした。
シャッターを押すたびに生きるエネルギーを与えられてるように感じたことが嬉しかったのです。
これまでの自分は昔の人が「写真を撮られると魂をぬかれる」と言っていたような感じで、
気合いを入れてシャッターを押すごとに自分が持ってる総エネルギーが消費され、
全部なくなった時が自分が死ぬ時なような感覚になっていました。
一枚いちまいが自分の命をすり減らしていくような感じだったので、
このリハビリの撮影ではじめて逆のエネルギーが満ちていくことを感じられたことが嬉しかったのです。

次の28日は夕方に地元の下北沢へ散歩に行きました。
この日のファーストカットは鈴なり横丁の外観でセカンドカットがこの内側の通路を覗きこんだ写真です。
両カットで合計5枚シャッターをきってました。そしてその日の撮影は他にはありません。
それがどうしてなのかは思い出せませんが、2カット目撮った時に
「元気になったらもう一回ここを撮りに来よう」と思ったことは覚えています。
もっといいのが撮れるかもと考えていたような気がします。

それから何回か鈴なり横丁のこの通路にカメラを向けてみましたが、
いい感じだと感じることは一回もありません。やっぱり写真ってそういうものですね。

その半年後に肺への癌転移がみつかり、
3つの抗癌剤治療は効かなかったものの、2020年3月からのオプジーボ通院点滴治療が効いて、
今は肺の癌細胞もほぼない状態になっています。
毎日飲む抗癌剤治療の時に足が腫れて立っているのも痛くて、
仕事の時以外は寝ている時期も3ヶ月ほどありましたが、
今は湿疹が出るくらいの副作用しかなく元気にしています。
腎臓癌手術の時に入る予定の仕事を前後にずらして貰えたので、
仕事も止めることなくずっと写真を撮り続けられています。

転移の結果がよくなるまで投稿もしづらかったのですがこれからまたこまめにアップしていこうと思います。